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インド旅行記6 交差点狂騒曲

[はじワル的旅とエッセイ ]

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「ブップー!!」

とすべての車が数秒おきにクラクションをならす。
まるでそうでもしなきゃ運転できないかのように。
このクラクションはおそらく、そこの通行人アブねーぞ!の意味のほかに、
俺が通るぞ!とか、ご機嫌だぜ!とかいろんな意味をこめているんだと思う。

そんな風にすべての車がクラクションをかき鳴らしながら、われ先へとハンドルを切り、そこに巨大なバス、市電、自転車、通行人、それに牛、羊までもが、いっせいに道を行くものだから、プップー! ブォー! モーモー! メーメー!とインドの道路は常に大騒ぎの大渋滞になるわけである。

信号もほとんど用を成さず、大きな交差点には警官がいて、
「ウォー」とか大声でいいながら、腕を振り下ろして初めて流れが変わる。

ウォー信号である。

世界のどこにそんなめちゃくちゃな信号があるか。
あるのである。インドには。

こんな騒ぎだから、車同士が接触することも日常茶飯事だし、どこもここも人々の怒鳴りあう声でいっぱいなのだ。

そして僕が乗ったタクシーも運悪くというか、当然というか、渋滞につかまり、ドライバーは頭の上から三本湯気がめらめらと見えるくらいはっきりとイライラしていた。

時折窓を開けて悪態をついたり、クラクションを力任せにぶったたいたり。僕はその様子にああなんかやな感じだなあと思い、車は大渋滞の中を少しずつにじるように進む。

ふと気がつくと横に白い大きなバンが迫ってきていた。いまにも接触寸前危機一髪、車は止まったが、ご機嫌斜めなドライバーはなにやら勢いまかせに相手に向かって叫ぶ。

それに、バンのドライバーも大声で言い返す。言ってる内容はわからないが、なにやらもめているようであることはわかる。

たぶん割り込んだとか割り込んでないとかで喧嘩してんだろ~な~うるせーなー。

と思ってその喧嘩の様子を眺めていると、

ついにトサカに来たのか隣のドライバーは突然一メートルくらいの物干し竿ような棍棒を持ち出し、タクシーの助手席に突き入れて、ドライバーを小突きだしたのである。
(コルカタのタクシーはエアコンがないため窓全開が基本。ちなみに両者とも、右ハンドル)

うぉぉ。なにやってんだー。っというかそんな棒はどこにあったんだ!?

と思いながらも、僕も後部座席にも飛び込んできそうな棍棒を香港映画張りのアクションで必死によけるのである。

これで頭に血が上ったタクシードライバーはがしりと棍棒をつかんで、なにやらヒンドゥー語で叫びながら、目いっぱい引っ張る

「○%*×チュクワチュクワ!」(←俺にはこう聞こえる)

と隣のドライバー

「"〇$☆зサモワ、サモワ!」(←俺にはこう聞こえる)

とこちらのドライバー

両者棒をつかみ、ゆすりあいながら一歩もゆずらない。
どうなるんだ、この勝負、と思った瞬間。
交差点の警官が「ウォー」と腕を振り下ろす。

とたんにバスも自転車も、牛も羊もすべてのものがいっせいに動きだす。
もちろん棒をつかみあった二台の車も動き出す。

ウォー!! プップー! ブォー! モーモー! メーメー、チュクワチュクワ!、サモワ、サモワ!!! !!!!!

これがインド路上交響楽団名物、交差点狂騒曲である。

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