インド旅行記3-物乞いの少年
インドにはたくさん物乞いがいる。
そのことにショックを受ける人も多いらしい。
僕は正直最初はなんとも思わなかった。物乞いならタイやインドネシアにもいくらでもいたし、手や足がなく、這って歩く人々なども珍しくない。
それを無視して通り過ぎることにもすでに慣れてしまっていた。
ただやはりインドが違うのは、圧倒的に子供が多いこと、妙に積極的なことだ。
とにかく断っても断ってもひたすらついてくるし、手を差し出すだけじゃなく、こちらの足や手をつかんで施しを要求したりもする。
それらのなかに子供が多いのはやはり悲しいものがある。
いつも通る町の角に、ちりちりパーマーの少年がいた。いつも元の色がわからないくらいうす汚れた白いシャツを着ていて、足元は裸足、たぶん小学校高学年くらい。
最初は少年に会ったとき、彼は腹を押さえ足を引きずりながら、いまにも死にそうな様子で、
「ミスター、あんたが恵んでくれないと夕飯が食えないんだよ。頼むよ。昨日も何も食ってないんだ、ミスター。」
と哀れな声を出してついてきた。その様子があまりに気の毒で、俺があげなきゃほんとうに死んじゃうんじゃないかこの子は、というような気分になって、数十ルピーを渡した。
すると、とたんに元気になり、どこかいたずらっ子のような笑みを浮かべて、
「サンキュー!ミスター!でももっとくれ!もっと」
と、さらに手を差し出してきたのである。
最初死にそうだと思ったのは、実に迫真の演技だったのだ。
そう思うとなんだかしてやられたような気分だ。
そんなことがあってから、その少年は、いつも俺を見ると一目散に飛んでくるようになった。やったまたあのカモの日本人が来た!と。
そうして当然のように手を差し出して、今度は最初会ったときと違い、ニコニコと子供らしいいたずらっ子の笑みを浮かべながら元気に叫ぶ。
「ミスター!あんたが恵んでくれないと、今日も飯が食えないんだ!」


コメント
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